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NEWS2013

2013.07 「ヨーロッパハウス」がJSCA賞を受賞

一般社団法人日本建築構造技術者協会(JSCA)が主催する「第24回JSCA賞」で、当社共同設計・施工の「ヨーロッパハウス」が奨励賞を受賞いたしました。当賞は、構造家の持つ優れた資質を顕在化し、次の世代を刺激し活性化を図り、また構造家の活動を社会的に掲示してゆくことを目的としており、構造面での創意・着想に優れた建築作品の構造設計者に贈られます。

「ヨーロッパハウス」は、免震システムの採用により、大地震でも大使館機能を維持するとともに自由度の高い建築を実現しました。また、住宅棟において直交壁による応力伝達を利用することにより、ランダムな開口を持った大規模な壁構造で柱・梁型の表れない空間を実現しました。これらの点を高く評価され、構造設計を担当した当社設計本部水谷太朗氏が表彰されました。


多様性を象徴するランダムな開口群
同一素材による表情の対比
異なる機能空間をつなぐ中庭

撮影:三輪晃久写真研究所
ヨーロッパハウス
所在地 東京都港区
建築主 ヨーロッパハウス特定目的会社
用途 事務所、集合住宅
構造 鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造)
規模 地下:1階/地上:6階
延床面積 10,561.81m2
竣工 2011年8月
コンセプトデザイン ADPI
基本設計 大成建設株式会社一級建築士事務所、ADPI
実施設計・監理 大成建設株式会社一級建築士事務所
施工 大成建設株式会社東京支店
建築コンセプト

「ヨ-ロッパハウス」は、欧州連合(EU)の日本における代表部にあたり、オフィス、職員宿舎、ホール、駐車場などを擁す複合施設です。
共用部分をB1階・1階に集約し、2階より上部を住宅棟とオフィス棟の2棟に分け、動線の分離とセキュリティの確保を図っています。
住宅棟は壁面から突き出たバルコニー(ロッジア) と大小様々な窓をランダムに配置した特異なファサードを形成し、整然とした横連窓を基調とするオフィス棟と対峙しています。
外装材もブロンズ銅板と緑青銅板により、2棟の対比と将来の融合を連想させています。
これらのデザイン要素は、EU のモットーである「多様性の中の統合」を象徴しています。

免震による機能維持と自由度の高い建築

大地震後の大使館機能の維持が不可欠であると共に、地震の経験が少ない欧州職員の不安を取り除くため、中小地震から大地震まで応答低減効果を発揮できる免震システム(ハイブリッドTASS構法+オイルダンパー) を採用しています。
同時に、上部構造の地震力低減、地震時のねじれ変形の抑制といった免震構造の優位性を利用し、建築コンセプトの実現を図っています。

直交壁を利用した有孔大規模壁構造

全戸異なるプランのメゾネットからなる住宅棟は、十分な天井高さと居住性能の確保、柱・梁型の現れない広々とした空間を実現するため、外壁及び戸境壁と球形ボイドスラブの無梁床版で構成される大規模な壁構造を採用しています。
その特徴としては、免震による地震力低減効果と直交壁による応力伝達を有効に利用することで、壁構造でありながらも、上下階の壁位置のずれやファサードとなる壁面のランダムな開口を許容できることが挙げられます。
局所的な応力伝達はFEM 解析により検証し、その応力から壁内に柱型や梁型を設けない縦横のみの壁配筋を実現しています。