WORKS 2024

横浜BUNTAI

YOKOHAMA BUNTAI

  • 北側外観:有孔鋼板のダブルスキンにより浜風になびく帆を表現したファサード

  • ファサードデザイン(夜景):2枚の外装スキンにより生み出されるモアレ効果は、風にゆらぐかのような表情を生み出し、夜景の演出性と合わせ新たな街の景観を創出

  • 照明パターン:外装に内包した照明の色彩の変化が、季節や一日の変わりゆく時の流れを感じさせ、まちに新たな景観をつくり出す

  • ヒストリカルプロムナード:2階エントランスへと続く外部通路には、旧施設の敷石に年号を刻印して再活用し、施設の歴史を継承

  • 2階エントランスロビー:出港時のセレモニーテープから着想を得たエントランスの膜天井が来場者を迎え入れる

  • コンコース:船の骨組みを思わせるゆるやかなカーブを描く天井の装飾が、外観の流線形のフォルムと呼応

  • メインアリーナ(コンサート利用時):観客席はU字形上の劇場型アリーナとし、スポーツ・音楽イベント双方に臨場感・一体感を生む空間

  • メインアリーナ(Bリーグ開催時の様子):臨場感あふれる客席とアリーナの距離感に加え、大型ワイドビジョンによる映像演出で、試合を盛り上げる

  • 1階エントランスとヒストリカルプロムナード(Bリーグ開催時の様子):横浜の新たなスポーツ振興の拠点とするとともに、コンサートなどの様々な興行利用を積極的に図り、関内駅周辺地区の賑わい創出の核となる


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用途
観覧場
所在地
神奈川県横浜市中区
延床面積
15,462.95m2
階数
地上3階

建築設計コンセプト

未来に向けたまちづくりを牽引する「横浜BUNTAI」

関内駅周辺地区のまちづくりのリーディングプロジェクトとして、市民利用はもとより、大規模な大会やコンサートなどの興行利用にも対応したアリーナ施設を整備しました。横浜の新たなスポーツ振興の拠点とするとともに、コンサートなどの様々な興行利用を積極的に図り、関内駅周辺地区の賑わい創出の核とすることを目的としています。
同時期に一体的に整備された「横浜武道館」は市民スポーツの場を提供し、「横浜BUNTAI」との連携により大規模なイベント・大会の運営を可能としています。同時に竣工した民間収益施設・ホテルと一体的な景観を生み出し、「横浜BUNTAI」とホテルの機能の相乗効果と併せ、街区全体の活性化も目指しました。

なびく帆を具現化する外装デザイン

横浜の浜風をうけて、なびく帆をイメージした外装デザインとしました。
外装鋼板に均一なピッチで穿たれた約13万個の孔と、その800mm内側にある外壁に少し揺らいで描かれた同数のドット模様。この2層の視野差によるモアレ効果で、風の揺らぎを表現しています。さらに内包した照明の色彩の変化により、季節や一日の変わりゆく時の流れを感じる外装となり、まちに新たな景観をつくり出しています。

臨場感あふれる体験と転換の容易性を両立したU字型アリーナ計画

観客席はU字形上の劇場型アリーナとし、スポーツ・音楽イベント双方に臨場感・一体感を生む空間とした。1階のアリーナ面はコンクリート床とし、双方のイベントの転換はやめることで、稼働率を高めています。また、通常のBリーグアリーナで採用されるセンタービジョン方式とせず、大型ワイドビジョンを採用することで、他にないスポーツ興行時の演出映像環境や、音楽イベントでの演出利用が可能な計画としています。

構造設計コンセプト

本建物は、まちなかの狭い敷地で高稼働を生む「劇場型アリーナ」を目指し、日本初の片寄せ形状として計画されました。構造架構として、片寄せ形状とメインのアリーナおよび体育館の二つの吹き抜け空間を架け渡す計画が求められました。
構造上のポイントは以下に挙げます。

簡易な製作を意識したメインアリーナ上の三角トラス

約63mを架け渡す体育館の屋根架構には鉄骨トラスを用いました。鉄骨トラスには、単体でも安定性を持つ、下弦材が1本・上弦材が2本の三角トラスを採用しました。
三角トラスは、構造力学上の安定した構造であるものの、斜材、束材の交点が集まり、製作上難しくなることが多々あります。加えて、本トラスは、下弦材が水平、上弦材が水勾配に合わせて傾斜を持つ形状となり、斜材・束材の納まりが書く交点において異なる納まりになることが製作上の懸念点として想定されました。そこで、本建築における三角トラスでは、束材と斜材による三角形が同一構面に入る納まりとなることに着目し、束材及び斜材に角型鋼管を用いることで、簡易な接合部を作成しました。また、超高力ボルトを採用することで接合部をコンパクトに作成することに留意しました。

重要度係数1.25倍、吹き抜けと片寄せ形状をもつ耐震壁付きラーメン構造の体育館屋根下部構造

下部構造は二つの吹抜け空間と片寄せのアリーナ形状をもつ平面、架構となっています。
片寄せのアリーナでは、アリーナを挟んで客席を持つどっしりとした架構と水平力を受け持ちにくい塔状比の高い架構薄い架構が両サイドにできる断面となります。
この下部構造に合わせて、上部のトラスは塔状比の高い架構側をルーズとした水平力の流れを形成し、また、曲面をもつ平面形状を活かして水平力を耐震壁に流す架構計画を行っています。

設備設計コンセプト

本建物は省エネ、省CO2化により環境への配慮や、安全性を確保したBCP時の一時避難拠点としての機能及びアリーナの使い勝手の良さと快適な居住空間の実現に配慮して計画を行いました。

環境に配慮した設備計画

本建物は、高効率の熱源システムや太陽光発電設備の採用、雨水利用による水資源の有効利用、BMSによるきめ細かな運転管理やBEMSによるエネルギー管理の実施等、多彩な省エネ手法の採用によりCASBEE横浜Sクラス及びBELS-BEI≦0.75をクリアした環境性能を有した建物となっています。
アリーナ内は置換空調方式の採用によりドラフトのない均一な温湿度環境を創出するとともに、バドミントン等の競技に対して気流に配慮した空調計画としました。
照明器具はLED器具を採用し人感センサーによる照明制御により省エネ化を図っています。

BCPに配慮した電源計画・給排水計画

非常用発電機により重要電源のバックアップや各所の保安照明、コンセント等に電源を供給するとともに、一部のトイレの排水を建物内に貯留可能としており災害時の一時避難場所としての機能を有しています。

多目的な利用に対応した照明・音響計画

市民利用からBリーグをはじめとする各種スポーツ大会や、ライブイベントや見本市及び各種式典など様々な利用目的に応じて、これらに対応した照明環境に容易に切替可能なシステムを採用しています。またコンサートイベント時等の持ち込み機材の設営に対応した専用光ネットワーク設備を構築しています。

担当

担当
設計 梓設計・アーキボックス・大成建設設計共同企業体
工事監理 梓設計・アーキボックス監理共同企業体
外装照明デザイン監修 ライトデザイン
ランドスケープ・ファサードモアレグラフィックデザイン監修 スタジオゲンクマガイ
サインデザイン監修 氏デザイン
大成建設担当者
建築設計 輿石秀人、横地哲哉、倉持翔太、高山武、鈴木彰信、久保順司
構造設計 有山伸之、御所園武、角田裕介、市川大真、片岡卓也
設備設計 渡辺睦典、矢田達也
電気設計 渡辺睦典、西村英俊

受賞

2024年 第66回 神奈川建築コンクール 一般建築物部門 優秀賞
2024年 第58回 日本サインデザイン賞 銅賞
2024年 グッドデザイン賞

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