WORKS 2023

東京建物三津寺ビルディング/カンデオホテルズ大阪心斎橋

Tokyo Tatemono Mitsutera Building/Candeo Hotels Osaka Shinsaibashi

  • 外観全景:横連窓を基調とした特殊塗装外装。頂部はホテルブランドイメージの「輝き」をイメージした
    撮影:エスエス大阪 左海一郎

  • 外観正面:既存本堂の上部にホテルが乗る都市型寺院の新たなプロトタイプ
    撮影:エスエス大阪 左海一郎

  • 低層正面:3層吹抜けのピロティ空間に木造本堂をそのまま移設し保存
    撮影:アイフォト 伊藤彰

  • 境内:寺とホテルがエントランスを共有し、双方のアプローチ空間となり寺院とホテルがつながる
    撮影:アイフォト 伊藤彰

  • 境内:日中開放され、誰でも立ち入り可能。仏教を身近に感じる街に開かれた空間
    撮影:アイフォト 伊藤彰

  • 本堂:堂内から境内、ホテルエントランスを臨む。三津寺とカンデオホテル、さらに御堂筋をつなぐ光り輝く一筋の光
    撮影:アイフォト 伊藤彰

  • 庫裡:内部の吹抜けから境内、本堂、さらには奥の御堂筋までつながる。現代と過去が融合し都市と建物がつながる特徴的な空間
    撮影:アイフォト 伊藤彰

  • ホテル客室:御堂筋が眼下に広がり、ホテルに滞在しながら都市とつながる
    撮影:アイフォト 伊藤彰

  • 曳家工事:本堂をそのまま保存するため敷地内で3回の曳家により移動した

  • 構造架構:3層吹抜けを支え、本堂を囲うダイナミックな構造計画

用途
寺院、ホテル、物販店舗
所在地
大阪府大阪市中央区
延床面積
9,530.50m2
階数
地下1階、地上15階

建築設計コンセプト

ホテルと共存しながら、本堂を次世代へ。仏教を身近に感じる街に開かれた寺院

1808(文化5)年に建立された三津寺本堂をまるごと新築建物の3層吹抜のピロティ空間内に曳家をし、寺院・ホテル・店舗を併設する複合建築です。
檀信徒の寄進のみに頼ることなく持続可能な寺経営を行うべく、土地の有効利用として既存の木造本堂を新築建物に覆う形として、その上部に容積を乗せる都市型寺院の新しいプロトタイプを提案しました。
御堂筋に面した西面を敷地の正面とし、寺院とホテル双方が御堂筋からアクセスする計画に加え、御堂筋を行き交う人の流れを呼び込み、街に開かれた境内を本計画の中心に据えることで、仏教を身近に感じられる空間を実現しました。

構造設計コンセプト

3層吹抜けを支え60mクラスの建物の揺れを制御する構造架構

新築建物は柱にCFT柱を採用した鉄骨造です。本堂を限られた空間に納めるため、長方形CFT柱や斜め柱を用いて計画しました。
本堂上部のロングスパン梁に設けた陸立ち制振間柱は、地震時に積極的にエネルギーを吸収し、主架構の損傷を低減させる機能を担っています。
低層部には座屈拘束ブレースを配置し、剛性と耐力を確保しました。また本堂吹抜け部分に対しては、北面の3層にまたがる外壁に吹抜空間の剛性を補うブレース構面を設け、架構全体で地震時のねじれ変形による揺れを低減させ、本堂を内包するダイナミックなピロティ空間を実現させました。
曳家でエントランス部に移設された本堂については、中地震時には本堂と新築建物間に互いの変形が干渉しないクリアランスを確保しました。また大変形による倒壊が懸念される大地震時には、新築建物に本堂の屋根荷重を預けて本堂の倒壊を防ぐ計画としました。

設備設計コンセプト

安心・安全と快適性を目指した設備計画

木造建築を内包する空間のため、放水型スプリンクラー設備を設置し、火災に対する安心・安全を実現し、また本堂内の照明についても蝋燭の光から照明の光とし、さまざまなイベントに合わせて照明設定が可能なよう照明計画を行いました。
ホテル客室の空調はルームエアコンを採用し、ローコストかつ、機器故障時の売り止めリスクを最小化、各個室ごとに冷暖フリーとしています。

担当

担当
設計 大成建設株式会社関西支店
大成建設担当者
建築設計 平井浩之、宮本育美、水野裕介、田中あゆ
構造設計 西本信哉(前期)、阪井由尚(後期)、岩井昭夫、豊島裕樹
設備設計 湯浅孝、鈴木真人
電気設計 湯浅孝、古角敬司
伝統・保存 松尾浩樹、水野俊、鬼頭貴大
音響 買手正浩

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