- 用途
- 大学
- 所在地
- 東京都豊島区
- 延床面積
- 35,896.45m2
- 階数
- 地上22階、塔屋3階
建築設計コンセプト
クロープン(閉/開)を越えた、新しい大学と都市のつながりの創出への挑戦
豊島区東池袋の旧造幣局跡地に整備された、東京国際大学の新たなキャンパスです。
近年の学校建築は、「開かれた学校」を是として計画する事が暗黙の了解となっています。かつて象牙の塔と呼ばれた、周辺から隔絶された世界からの脱却です。その一方で、周辺との境界を消失させ都市と融合を図った学校は、その学問の場たるアイデンティティも失いつつあります。
このプロジェクトでは、開閉の概念を越え、学問の場のあり方とその都市との関係性への新しい回答に挑みました。
公園に浮かび、学生が躍動する 「ステージ型」キャンパス
学生の活動拠点を2階レベルに配し、隣接する防災公園の風景と連続しつつ、アカデミックな空間性を確立する「ステージ型」のキャンパスを創出しました。
また、高層棟のボリュームは公園に対して徐々にセットバックし圧迫感を低減。各ボリュームの間隙にはアトリウムや空中ラウンジなど学生の居場所を計画しました。
キャンパス全体が舞台となり多様な場所で学生の賑わいや活動が表出することで、公園や地域との強い相互関係を生み出しました。
構造設計コンセプト
ダイナミックな片持ち架構を有する免震建物の構造デザイン
極めて稀に発生する地震動に対して構造体の補修をすることなく建築物を使用できることを目標とし、人命の安全性確保に加えて十分な機能を確保する構造として免震構造を採用しました。
地上部の構造種別は平面計画の自由度が高い鉄骨造とし、建物剛性の向上を図るため、1階大梁は鉄骨鉄筋コンクリート造、12階までの柱はCFT柱を採用しました。架構形式はラーメン架構とし、高層棟短辺方向は風揺れに対する居住性能の向上を図るため8~19階に間柱型制振ダンパーを配置しました。また、高層棟短辺方向の3~7階X9通りには耐震間柱を設け、層間変形を抑制しています。
高層棟と低層棟は1・2階床面スラブで一体化しています。また、3・4階はアトリウムに吹抜けを有しますが、南北の床スラブで接続させています。対して、5階ガラス屋根はガラス破損を防止するため、低層側にエキスパンションジョイントを設け、屋根に過大な応力や変形が生じることを防止しています。
低層棟南面は9mの跳ね出し架構を有するため、3・4階の2層にわたるロッド材の斜材を設け、長期変形を抑制しています。
設備設計コンセプト
都市型エコキャンパス
自然エネルギーの利用と建築的工夫により環境負荷を抑えたエコキャンパスとして、大成建設オリジナルのBEMSシステムである「T-Green BEMS Lite」によりエネルギーの見える化を行い、キャンパス全体のエネルギー監視を可能としています。熱源については、池袋地域冷暖房株式会社より冷水・蒸気の供給を受け、地域全体の省エネルギー化にも貢献しています。
災害時の施設機能を支えるBCP対策
大規模災害時に大学の機能維持だけでなく地域の防災にも貢献する高い防災計画を有した設備計画として、本線予備電源線の2回線受電、非常用発電機による72時間電源確保、帰宅困難者が3日間滞在しても利用可能な汚水貯留槽の容量確保、都市ガスを利用したコジェネレーションシステムの採用、太陽光発電の導入、各設備の運転可能時間を自動で予測・見える化する大成建設オリジナルのビル管理システムであるT-BC Controllerの採用等を行っています。
担当
担当 | |
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設計 | 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
ライディングデザイン | シリウスライティングオフィス |
サインデザイン | エモーショナルスペースデザイン |
大成建設担当者 | |
建築設計 | 輿石秀人、西尾吉貴、麻田北斗、生出健太郎、滝村菜香 |
構造設計 | 中島徹、中島崇裕、髙澤昌義、佐野直哉、角田裕介、板垣尚子 |
設備設計 | 根本昌徳、小和田 信裕、渡邊裕美子 |
電気設計 | 根本昌徳、皆川翔太郎 |
ランドスケープ | 山下剛史、林秀一郎 |
社外受賞
2024年 | グッドデザイン賞 |
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2024年 | 第58回 日本サインデザイン賞 銀賞 |
2024年 | 第58回 日本サインデザイン賞 招待審査員賞 小林章賞 |
2024年 | 日本空間デザイン賞2024 公共生活・コミュニケーション空間 LongList(入選) |
2024年 | 照明学会 照明施設賞 |