WORKS 2023

エディオンピースウイング広島

Edion Peace Wing Hiroshima

  • 南東側外観

    南東側外観:スタジアムの雰囲気を発信するために街に向けて大きな開口部を設けた南東コーナー部

  • 南西側外観

    南西側外観:水辺空間、川岸緑地と一体となったスタジアム

  • 東側外観・芝生広場

    東側外観・芝生広場:スタジアムと芝生広場をシームレスに繋ぎ、にぎわいと市民の憩いの場を創出

  • 南東側鳥瞰

    南東側鳥瞰:東側の芝生広場、ペデストリアンデッキにより街とつながったスタジアム

  • 4階南東コーナー部バラエティシートよりピッチを臨む

    4階南東コーナー部バラエティシートよりピッチを臨む:南側屋根は天然芝の日照確保の為、国内スタジアム初のETFE膜屋根を使用

  • ピッチ北側よりスタンド南側を臨む

    ピッチ北側よりスタンド南側を臨む:スパン約135mの張弦梁構造で平和の翼をコンセプトにした大屋根を軽やかに支える

  • 3階メインコンコース

    3階メインコンコース:10m幅のゆとりがある通路は歩きながらピッチを臨むことができる

  • 1階トンネルラウンジ

    1階トンネルラウンジ:ピッチに向かう選手を間近で見ることができる国内初の特別感のある空間

  • チーム更衣室

    チーム更衣室:選手同士が向かい合えるよう楕円形に配置

  • 2階VVIPラウンジ

    2階VVIPラウンジ:広島県産のシイ材、地元技術を用いたスズ箔壁を使用

用途
観覧場
所在地
広島県広島市中区基町
延床面積
65,878.0m2
階数
地上7階

建築設計コンセプト

365日にぎわう「まちなかスタジアムパーク」の実現

広島市中心部に誕生した「まちなかスタジアム」。国際試合の開催が可能なフィールドと約28,500席の観客席、回遊できるコンコース、ミュージアム、店舗で構成されています。
スタジアムは、国際スタジアム基準に合致した「南北方向」を前提とし、中央公園広場の西側に配置し、東側に芝生広場を配置する計画としました。スタジアム2階は、非試合時にも通行可能なパークコンコースを設けることによって、東側広場と西側本川河畔を繋ぐことで回遊性を高め、日常的に立ち寄れる回遊路となっています。またスタジアム3階は、幅10mのメインコンコースを設けることによって、試合時には周回が可能な観客のメイン動線となります。コンコースの2層化により利用者・市民の回遊性を高め、いつでもまちに開かれたスタジアムパークを実現しました。
来訪者の動線は、バスセンター・平和記念公園・旧市民球場跡地・紙屋町等の繁華街があります。南側からのアクセスが主となることを想定し、前面の城南通りに幅員10mの南側ペデストリアンデッキを整備し、スタジアム2階のパークコンコースに直結させました。また広島城との連携、JR白島駅・広島駅へのアクセスも考慮して東側にも幅員8mのペデストリアンデッキを整備しました。
スタジアムの東側には、防災機能や環境に配慮した約2.3haの芝生広場を中心とした次世代型の都市公園を整備しました。スタジアムと芝生広場をシームレスに繋げるために、バックスタンド側にフィールドビューテラスやだんだんテラス、非試合日にも営業される店舗の配置などさまざまな仕掛けにより、スタジアムと広場エリアが連携したにぎわいと市民の憩いの場を創出しています。
スタンドを柔らかく包み込む大屋根は、「三矢の訓」をモチーフとした矢を放つ弓のような張弦梁構造により、国際平和都市広島の新しいシンボルとして「平和の翼」を造形化しています。大きくまちに開いた南側の両コーナーからは、スタジアム内部の活気が隣接する芝生ひろば、そしてまちへと広がっていきます。

構造設計コンセプト

意匠と構造一体のデザイン

構造設計に要望された、「平和の翼」、「魅せる段床裏」、「工期23ヵ月の厳守」を柱とした構造計画としています。
「平和の翼」の軽快で浮いた屋根は、南北方向約135mスパンを支える張弦キールガーダーを採用することで、先端部を形鋼による約14mの片持ち梁で構成でき、フィールド側からの屋根の軽やかさを実現しました。ケーブルを用いた自閉構造の張弦キールガーダーは、スラストを生じさせないことで、北側は傾斜した一本柱、南側は山型斜め柱で支持することができ、スタジアム内部の熱気が垣間見えるオープンコーナーを実現し、屋根の浮遊感を更に強調する計画としています。
「魅せる段床裏」の、鉛直方向の柱のラインと段床裏の水平ラインを表現するため、段床裏にブレース等は配置せず、段床上段のアーチ梁でブレース構面まで水平力を伝達する計画としています。
「工期23ヵ月の厳守』のために、スタンド部の徹底的なPCa化を行いました。柱・大梁の主要部分はほぼPCa化し、その他にもスラブはスパンクリートをハーフPCa版として用いることで、9mのスパンを支保工なしの施工計画としています。客席部分の段床部分も2段段床を採用することで、スラブ同様9mのスパンを架け渡せるPC段床とすることで工期短縮を実現しました。

設備設計コンセプト

最新鋭の競技・観戦環境を提供するエコスタジアム

最新鋭の競技環境の整備にあたり、国際試合開催可能な照明性能および映像配信時の再現性に配慮し、競技照明を整備しました。また、メインビジョン・リボンビジョン等の大型映像装置、フルカラー演出照明、競技音響を統合的に制御し、観客がスポーツ観戦だけでなく高度なエンターテイメント演出による臨場感を現地体験できるようにしました。さらに、場内デジタルサイネージによる場内情報やトイレ混雑状況表示等の誘導支援を行うだけでなく、避難用乗用エレベータ・視覚弱者への音声誘導装置をはじめバリアフリーに配慮することで、最新鋭の観戦環境の整備を行いました。
街なかスタジアムであるため、近隣住宅への生活環境に配慮し、音響騒音・光害はシミュレーション検証により照明・音響設備の選定および配置を行いました。スタジアムと広場は地域防災拠点でもあり、防災面はレジリエンス機能を強靭化し、72時間のインフラ途絶対策、災害時運営支援としてBCP対応統合型BEMSを導入しました。
エコスタジアムの実現のために、広島市が目指す「2050年までの温室効果ガス排出量実質ゼロ」の実現に向けた施設として、種々のエコロジー技術を採用し、CASBEE広島SランクとBELS5スターの達成、スタジアムでは国内初となる「ZEB ready」の認証を受けました。 具体的には、太陽光発電や雨水再利用による再生可能エネルギー等の活用、変圧器・空調機・LED照明等の高効率機器導入による省エネルギーへの寄与、清掃工場からの余剰電力託送利用による電力地産地消に取り組み、ハード面及びソフト面においても「エコスタジアム」として存在感を示せる施設としました。

担当

担当
設計 東畑・EDI・大成・復建設計共同企業体
工事監理 東畑建築事務所、あい設計、シーケィ・テック
大成建設担当者
建築設計 川野久雄、伊藤真樹、和田真、松村秀幹、宮本昌和、武市章平、當栄司、浅野晃宏、武藤敬宏、佐藤凌、林健斗、眞鍋修
構造設計 島村高平、安藤広隆、永久美優、鈴木直人
設備設計 龍英夫、矢後佐和子
電気設計 箭内伸司、小川武史
ランドスケープ 加藤純、西島知明、佐野剛仙
インテリアデザイン(家具コンセプト) 徳野博子
法規計画 藤原稔、石原佳剛
音量シミュレーション 増田潔、買手正浩
芝(フィールド)計画 屋祢下亮

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