Snow Peak Headquarters
- 用途:事務所、工場
- 所在地:新潟県三条市
- 延床面積:5,070.36m2
- 地下:1階/地上:2階
建築設計主旨
株式会社スノーピークは、キャンプ用品などアウトドア事業を中心とした自然志向のライフスタイルを提案し実現する企業です。
創業時より、新潟県三条市内に本社を構え、製品の開発・生産を行ってきました。
本プロジェクトは、事業の更なる革新を目的とした本社機能の移転計画です。
敷地は、三条市郊外に位置する約5万坪にもおよぶ緩やかな傾斜状の丘であり、遠く美しい山並みを望むことが出来ます。
この傾斜を生かす為、建物は自然の地形に従い、オフィス・ファクトリー・ストアがそれぞれ異なるレベルのアプローチを持つよう階段状の断面構成としました。
主用途であるオフィス・ファクトリーは、コンクリート打ち放しと18mスパンの張弦梁で構成された同一システムの構造体により一体感を有していますが、中庭を挟んでフロアレベルが異なる為、直接視線の交差は行われず気配を感じつつも互いが干渉しないワークスペースとなっています。
両者を繋ぐのは、ストアへと続く長さ150mのPCaコンクリート製の大屋根とカーテンウォールにより構成された空間であり、美しい山並みやキャンプ場を望むミーティングや展示の為のスペースとして、ユーザーの利用が可能です。
ユーザーは、キャンプを楽しみ、商品を品定めし、オフィス・ファクトリーを見学できます。
雄大な山並み景観を阻害しないよう低く薄く作られたこの大屋根は、キャンプ場に対し庇状に2.5m迫り出しており、人々を日射や積雪から守るだけでなく、内部空間と広大なキャンプ場をシームレスに繋ぎます。そしてユーザーとワーカーをひとつにします。
構造設計主旨
オフィス・ファクトリーに一体感をもたらす張弦梁
18mスパンのオフィス・ファクトリーの屋根は、積雪3.6mによる梁のたわみを考慮し、約3cmのムクリを設けた張弦梁による構造システムで構成されています。
ムクの丸鋼を用いた束材、タイロッドを用いた緊張材により、細く、軽快なフォルムを有し、テントを連想させるデザインです。
浮遊するPCaの大屋根
ハーフPCaコンクリートの大屋根は、梁部にプレストレスを使用し、11.2mの大スパンを実現しました。
大きく張り出した連続庇は、多雪時のバランスを保ち、大スパンの梁成を抑えています。
天井をコンクリートの均一な質感としたこの浮遊する薄い板は、鉛直力のみを支える190.7φの鉄骨丸柱により支えられています。
設備設計主旨
実効性が高く省エネルギー技術や建築と設備が融合した自然エネルギー活用を設備計画のテーマとしています。
大きな屋根面と庇を利用し、太陽光発電パネル(50kWタイプ)を設置することにより自然エネルギーの有効利用を可能としています。
本設備は平成22年度新エネルギー等事業者支援対策事業として補助金を受けています。
また大庇による日射遮蔽により大幅な空調負荷の低減を図っています。
吹抜で天井が高いオフィスエリアには全面床吹出空調(T-Breeze)を採用し、快適性の確保と居住域空調による省エネルギーを両立しています。
オフィスや廊下には、温度差・気圧差で換気を行うベンチレーターと床面開口を設け、自然換気を促しています。
オフィス吹抜エリアと工場吹き抜けエリアに大成オリジナルLED照明器具を採用、ショールームにはLED型スポットライトを採用し省エネルギーと共にLED照明の長寿命を活かしメンテナンス軽減を図っています。
担当
大成建設担当者 | |
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建築設計 | 碇屋雅之、関政晴、野瀬英未璃、三浦有美子 |
構造設計 | 出雲洋治、平尾明星、福田優子 |
設備設計 | 中田義治、宮本敬介 |
電気設計 | 中田義治、小野田修二 |
ランドスケープ | 蕪木伸一、木川薫 |
社外受賞
2010年 | グッドデザイン・中小企業庁長官賞 |
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2012年 | 第25回 日経ニューオフィス賞ニューオフィス推進賞 経済産業大臣賞 |
2013年 | 第21回 建築作品・新潟県賞 最優秀賞 |
2013年 | 平成25年度 日事連建築賞 一般建築部門 優秀賞 |
2013年 | 日本建築士会連合会賞 奨励賞 |
2014年 | 第12回 環境・設備デザイン賞 環境デザイン部門 入賞 |
2014年 | 日本建築学会作品選集2014 |