NEWS 2025.01

「古平町複合施設かなえーる」がSDGs建築賞国土交通大臣賞とAACA賞奨励賞を受賞

  • 正面(北東側)外観

    正面(北東側)外観:自然豊かな景観に呼応した斜め壁柱による木立ファサード

  • 東側外観

    東側外観:内部の機能に合わせて壁柱の配置・開口の大きさを調整可能なファサードシステム

  • 2階ロビー

    2階ロビー:光や風が流れ、利用者のアクティビティが生まれる吹き抜けロビー

  • 1階執務室

    1階執務室:木RC梁が現しとなり大きな窓からは周辺の緑が取り込まれる

  • 次の100年を目指す持続可能な建築に向けて

    次の100年を目指す持続可能な建築に向けて

当社設計・当社施工作品の「古平町複合施設かなえーる」が第2回 大規模建築部門 国土交通大臣賞、第34回 AACA賞 奨励賞を受賞しました。

一般社団法人住宅・建築SDGs推進センター(IBECs)が主催するSDGs建築賞(旧サステナブル建築賞)は、建築物として優れた作品であるとともに建築主、設計者、施工者および利用者の協力により、建築物の計画、生産、運用、廃棄にいたる全ての段階におけるSDGs達成に向けた顕著な取組で、その普及効果が期待されるSDGs建築物を顕彰する賞です。
大規模建築部門は、延床面積2,000m2以上、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」の建築物エネルギー消費性能適合性判定の当初の規模要件に準ずる建築物が対象で、国土交通大臣賞は部門ごとに1作品選定されます。

一般社団法人住宅・建築SDGs推進センター(IBECs):https://www.ibecs.or.jp/index.html

一般社団法人日本建築美術工芸協会(AACA)が主催するAACA賞は、当協会の設立理念と目的に叶い、建築、美術、工芸、ランドスケープなど様々な 分野が協力し、融合して創造された文化的環境と美しい芸術的景観を対象として、これらを実現させた個人、グループ、団体を毎年表彰する賞です。
また、AACA賞に次ぐ入選作品には優秀賞、特別賞、奨励賞が選抜され授与されます。

一般社団法人日本建築美術工芸協会(AACA):http://www.aacajp.com/

古平町複合施設かなえーる

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現しの構造体を蓄熱体として利用し、古平の自然環境を取り込んで居場所をつくる

現しの構造体を蓄熱体として利用し、古平の自然環境を取り込んで居場所をつくる

寒冷地の窓際にあたたかい居場所をつくる壁柱輻射冷暖房

寒冷地の窓際にあたたかい居場所をつくる壁柱輻射冷暖房

概要

北海道古平町における、庁舎・集会所・図書館等の複合施設です。環境にやさしいまちづくりに取り組む古平町において、積雪寒冷地の中でも快適性と省エネを両立し、長寿命な、町民に長く愛される建物を目指しました。建築・構造・設備が一体となった計画により、運用後1年の実績として79% の省エネ(Nearly ZEB)を達成しています。

デザインのポイント

1.RC現しの空間による躯体蓄熱と輻射冷暖房で、窓際に居場所をつくり大幅な省エネを実現
2.平面計画に柔軟に対応する木立状の壁柱ファサードにより、自然に呼応した開放的な公共施設の外観を形成
3.北海道産カラマツを主要構造体に使用することで省CO2を図り、ぬくもりのある木質内部空間を形成

背景

古平町は、これからの持続可能なまちづくりに向けて、北海道内初のゼロカーボンシティ宣言を行い、町内における環境負荷の低減に取組んでいます。 そのためこの建築は、エネルギー負荷の高い積雪寒冷地において、快適性と大幅な省エネを両立する寒冷地ZEB建築の先導モデルとなることを目指しました。一方、古平町の人口は3,000人程度であり、漁獲量の減少と共に人口減少が進んでいました。そこで建物内に賑わいと交流が生まれるように、庁舎と交流施設を正方形にまとめ、中央を共有の3層分吹抜ロビーとしています。建物のコンパクト化によりイニシャルコストの低減と共に、外壁面積を抑え省エネとランニングコストの低減を図っています。旧庁舎は95年間町の歴史と共に歩んだ建物でした。新庁舎である本建物は次の100年を町民と共に歩み、町が推進する持続可能な地方都市のまちづくりにおいて、その中核を担う施設となることを目指しています。

経緯とその成果

100年愛されるZEB建築を実現するため、寒冷地気候に適合する建築・構造・設備が一体となった計画とし、居心地のよい空間づくりと大幅な省エネの両立を目指しました。 周辺環境に呼応する木立状の外観は、壁柱をそのまま表現し長寿命な構造体として機能させています。その壁柱には輻射冷暖房配管を埋設しており、内部側の特に寒冷地では寒くなりがちな窓際において、古平の豊かな自然を眺められる温かい居場所を作りました。木とRCの複合梁には北海道産カラマツを使用し、省CO2を図りながら、ぬくもりある内部空間としました。梁の集成材はRC打設時に型枠として機能し一体化させることで、通常廃棄される型枠を大幅に削減しています。 共用開始から1年が経過し、運用段階で79%の省エネを達成しています。また、眺望の良いぬくもりのある図書館の利用数は従前の3倍となり、町民のための居心地の良い空間が公共施設の利用者の増加につながっています。

建物概要

  • 建築主
    古平町
    所在地
    北海道古平郡古平町大字浜町50番地
    用途
    庁舎、集会所、図書館
    構造
    鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造
    階数
    地上3階
    敷地面積
    8,861.57m2
    建築面積
    1,323.59m2
    延床面積
    3,887.03m2
  • 工期
    2020年4月 ~ 2022年2月
    設計
    大成建設株式会社一級建築士事務所
    施工
    大成建設株式会社札幌支店
WORKS:
古平町複合施設かなえーる
NEWS:
「古平町複合施設かなえーる」がグッドデザイン賞を受賞
NEWS:
「古平町複合施設 かなえーる」が2024年日本建築学会作品選奨を受賞・作品選集2024に掲載

大成建設担当者

  • 高橋章夫
    建築設計
    高橋章夫
  • 杉野宏樹
    建築設計
    杉野宏樹
  • 小山智子
    構造設計
    小山智子
  • 山本進
    設備設計
    山本進
  • 藤間一憲
    設備設計
    藤間一憲

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