当社設計・当社施工作品の「モバイルインフィル®」が2024年度グッドデザイン賞を受賞しました。
公益財団法人日本産業デザイン振興会が主催する当賞は、総合的なデザインの推奨制度です。
デザインによって私たちの暮らしや社会をよりよくしていくための活動であり、1957年の開始以来、シンボルマークの「Gマーク」とともに広く親しまれてきました。
当賞は、製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、私たちを取りまくさまざまなものごとに贈られます。かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価・顕彰しています。
GOOD DESIGN AWARD (g-mark.org):https://www.g-mark.org/
モバイルインフィル®:https://www.g-mark.org/gallery/winners/20737
モバイルインフィル®
「モバイルインフィル®」の活用イメージ
10個の部材から大きな屋根を作る
概要
「モバイルインフィル®」は、都市部のオープンスペースや道路空間を有効活用して、利用者のニーズに即応する「居場所」をいつどこにでも任意に設けることが可能です。このため、居心地の良い歩きたくなる空間を追求した新たな街づくりのモデルであるウォーカブルシティ実現への貢献や人々の活動を街へ引き出す空間としての活躍が期待できます。
デザインのポイント
1.1台の大きな車両から日影と縁側の心地良い場所を生み出す
2.建築とウォーカブルシティの余白スペースを繋ぐ空間デザイン
3.人力で簡単に組立・分解を実現するリサイクルに配慮した牽引式移動空間
背景
車中心から人中心の街に転換させ、都市の個性を生かしたエリア価値向上を目指す社会変化が近年加速しています。こうした変化に向けた取り組みのひとつにウォーカブルシティが挙げられます。ウォーカブルシティの実現に向けて歩いて楽しい街にするため、空地や公園・道路空間などの多くのオープンスペースにおいて空間活用のため法制度の緩和等が進んでいます。しかし、オープンスペースに建築物を設けることが難しく、居場所となる空間提供ができないのが実情です。
「モバイルインフィル®」は、通常の建物と同じように、場所、利用者、使い方に合致した機能・性能を備えてデザインされ、訪れる人が快適にいきいきと暮らし、その街ならではの魅力を楽しめる居場所になります。また、都市部に集う人々の多様な活動や非常時の防災活動の拠点としても活用でき、ウォーカブルシティのみならずレジリエントな社会の実現にも貢献します。
経緯とその成果
空地や公園・道路空間などのオープンスペースへ短時間で簡単な接合部で構成される牽引式移動空間をデザインしました。車上のハウスは工作物の扱いとし、周りに展開する木組みの屋根はテント工作物としているため、地面への固定をしない取り回しの良い工作物としています。木組みの屋根は1台の「モバイルインフィル®」で大きな屋根を作り出すことを目的としており、人数を2~3人確保できれば、約2時間で組み立てができます。また、簡単な工具だけで組み立てが可能なため、使い回しが効き易く、資源循環にも寄与します。設置・組立は各接合部へ屋根部材をそれぞれ差し込み、結束バンドと貫通ボルトで結合しています。組立・分解が可能な部位は接着剤を使用せず、木部材も特殊な加工を必要としません。馴染みのある市販流通品を使った接合部の固定方法にすることで、誰でも簡単に組立・分解がしやすいデザインとしました。
技術概要
- 用途
- 休憩スペース
- 構造
- 木造(T-WOOD® SPACE Light)
- 設計
- 大成建設株式会社一級建築士事務所
大成建設オフィシャルサイト > 企業情報 > ニュース > 2023年度 >
いつどこにでも設置可能な移動式空間「モバイルインフィル®」の開発に着手
大成建設担当者
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- 全体プロデュース
- 野島僚子
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- 建築設計
- 田中良
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- 建築設計
- 関山泰忠
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- 構造設計
- 関根夕貴
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- 構造計画
- 相馬智明